合同会社サンシャイン・ラボ 代表の松原です。
浜松の工務店・入政建築さんが企画する「Aisuの家」。
この建物の断熱仕様や目指す温熱環境についての勉強会を行っています。
この会は、主催の入政建築のスタッフと東京で「みんなのオフグリッド研究所」を主宰する大出達弘さん、小さな工務店向けに広報支援サービスを行っているKATALYSTの佐塚昌則さん、そして私というメンバーで構成されています。
弊社としては、今後行っていきたい「おいしい建築研究所」の活動の予行演習になるのではないかと考えて参加することにしました。
自然とともに暮らす住まいづくり – 高断熱住宅でエコで快適な住まいを。 (kameplan.com)
みんなのオフグリッド研究所 (minguri-lab.com)
Katalyst | 人が足りない小さな工務店向け広報支援サービス「社外広報部長」で、集客・受注の基盤作りをサポート。
温熱シミュレーションによる検討
大出さんは、OMソーラー時代に一緒に働いていた仲間ですが、OMを離れてから設計事務所を開かれて東京で活動されていました。会うのは十年ぶりくらいでしょうか?昔と変わらない姿にOM時代のノリで話せるのが良いです。
彼も「自然のチカラを活かした家づくり」を目指していて、高断熱住宅+太陽光発電・蓄電池のオフグリッド住宅に積極的に取り組んでいるという事で、今回は「Aisuの家」をベースにした温熱シミュレーションの結果を報告されました。
現在の入政建築の断熱仕様は、等級5(HEAT20・G1)という事で、上表のような温熱性能になるとの事です。
「自然室温」とは暖房も冷房もしていない自然な室温の状態の事を言いますが、建物の断熱性能を高めていくと暖房期の快適温度帯である15~30℃の自然室温達成率が、グンと高まる事がわかります。
もちろんこの計算には、空気集熱式ソーラーの効果は含まれていませんから、現行仕様であってもソーラーの効果が加わることにより1グレード上の等級6(G2)並みまで自然室温を引き上げることは可能と思われます。
逆に断熱性能を高くする事による夏場の室温上昇が気になります。
実測調査による検討
入政建築の新野社長の自宅兼モデルハウス(Sukura3)では、2023年10月から現在まで温度、湿度の実測を行っています。今回の勉強会では、この実測データから月毎の気温と集熱温度、室温の変動。温度変化から推測する暮らしの様子。ソーラーの有る建物と無い建物の室温の違いなどを詳しく見て行きました。
社長ご自身の家の事なので、普段自分が感じている温熱感がどういうものなのかを実測データで確認することが出来て、より理解が深まったようです。まさにこれが「味を知る」という事だと思います。
数値は建物の省エネ性能を示してくれますが、それが「快適」になるかどうかはまた別の話。「この味がいい」というものを見つけることができたならば、自分の味覚を信じて料理(建築)すれば良いと思います。そんな時「陽のまど」は味付けに欠かせない「隠し味」の役割を果たすことでしょう。
なかなか有意義な勉強会になったと思います。具体的にどのような仕様でまとめるかは設計者の判断になりますが、このような会を続けていくことで「おいしい建築」をつくる事ができるようになるでしょう。楽しみですね!