合同会社サンシャイン・ラボ 代表の松原です。
長野県茅野市のイマージさんのお客様の所で集熱パネルのガラスが割れたとの連絡をいただきました。その物件は2021年に納品した「びおソーラー」の家で、イマージさんとしては初めてのソーラー工事でしたので、集熱パネル設置時に私が施工指導に伺ったお宅でした。
それから3年目にしてガラスが割れるという事故が発生した訳ですが、場所柄、季節柄、いつ雪が降ってもおかしくない地域なので、早めの対応が必要です。私が青トラでガラスをお届けする事にしました。
縦型集熱パネル4枚の内の東端の1枚のガラスが無残に割れていました。よく見ると水上から1/3ほど下がった辺りに強い衝撃が加わった形跡があり、ここを中心に放射状に割れています。何らかの飛来物が衝突した可能性がありますが、残念ながらその正体はわかりませんでした。
集熱ガラス交換
集熱ガラスの交換作業は、割れたガラスの回収から始まります。熱処理されたガラスのため細かい破片になっていますから散乱させないように丁寧に集めます。
結構厄介なのが、集熱ガラス受け材とガラス押えアングルの間に挟まったままのガラス破片の除去です。ここにガラスが残っていると新しいガラスを取付けることができません。水上側を除く三方の集熱ガラス受け材は、既存のガラスクッション材ごと除去します。
ガラスの回収が終わったら集熱板上を綺麗なウエス等で拭きます。ガラスの粉末やシール材のカスなどを綺麗に取り除いてください。次に集熱ガラス受け材上にクッション材を貼り、下地を整えます。
最後に新しい集熱ガラスを載せて、ガラス押えアングルで固定します。必要に応じてアングルとガラスの隙間やアングル同士の接合部などをシールします。
ガラス押えアングルと集熱ガラス受け材の間に残ってしまうガラス片については、下図のような仕様に変更することでスムーズなガラスの除去とクッション材の復旧を図れるようにしたいと考えています。
現行仕様の集熱パネルを世に出してから12年くらいになりますが、これまでに4件の集熱ガラス破損事故が発生しており、私はその内の3件の交換作業に立ち会ってきましたが、水上側のガラス片撤去が毎回大変でしたので、これを解消するための一案としてこのような仕様を考えました。「水上クッション材ベース」は、ガラス受け材に重ねるように取付けますが、接着はしないのでガラス破損時の交換作業では、簡単に撤去できるでしょう。集熱ガラスはそんなに割れるものではありませんが、万一の時にスマートな交換作業が出来るようにしたいと思います。
集熱ガラスは、風による集熱温度の低下を防ぐ為のものとして使用しています。太陽光を透過させる材料としては、アクリル板やポリカーボネート板などもありますが、材料の安定性や経年劣化の事などを考えるとガラスが最適でしょう。ガラスを使い続ける限り、これからも割れてしまう事故はゼロにはならないと思いますが、できる限りスマートな交換対応ができるような工夫を加えていきたいと考えています。
集熱ガラスの交換法に関する資料は下記からダウンロードしてご覧いただけます。