床吹出口と床下の清掃

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合同会社サンシャイン・ラボ 代表の松原です。

コロナに罹ってしまったせいで先週は会社を休業にしてしまいました。
サラリーマンならこの機会に身体を休めて…で良いのですが、今の自分の立場だとそうも言っていられなくて、のんびり療養という気分にはなれなかったですね。幸い熱があまり出なかったので、一人会社で見積依頼を受けた物件のシステム計画をしたり、お問い合わせのメールに応えたりしてました。そんな中に床吹出口と床下の清掃についての質問があったのでご紹介します。

床吹出口の役割

「陽のまどの家」には、1階の各所に床吹出口が設けられています。これは屋根や壁にある集熱パネル内で暖められた空気を床下に送り、土間コンクリートに蓄熱させながら床下全体に広げるために床吹出口によって空気の流れを調整をしているからです。陽のまどで使用している床吹出口には金属製と木製の2種類があって、次のような納まりになっています。

金属製床吹出口
金属製床吹出口
金属製床吹出口 納まり
金属製床吹出口の床納まり
木製床吹出口
木製床吹出口
木製床吹出口 納まり
木製床吹出口の床納まり

床下の清掃について

Q:床下はどれくらいの頻度で掃除すればいいですか?

今回のお問い合わせは、上記のような内容でした。
金属製/木製どちらも開口があるので、細かいゴミが床下に落ちるでしょう。床吹出口の裏側にフィルター状のものを取付けてゴミをキャッチするようにしている人がいましたが、前述のように床吹出口の目的は集熱空気を床下全体に広げる為のものなので、フィルターが目詰まりしてしまったら空気が通過しなくなって好ましくありません。日頃からこのフィルターの手入れを欠かさずにやっていただけるのならば良いですが、大抵は難しいと思います。だから多少ゴミが落ちるのはやむを得ないと思った方がいいでしょう。

どれくらいの頻度で清掃すればいいかは、正直なところ何とも言えません。汚れ方はその家、その部位毎に異なると思うので、私からの回答は「汚れたら掃除する」としました。年末の大掃除の時に床吹出口を取り外して床下を覗いてみて、ゴミがあるようなら掃除機で吸い取る。元々床吹出口の開口は、幅4~5mmのスリットなので紙屑のような大きなゴミは落ちません。細かい砂埃や綿埃などが主ですから、掃除機で吸える範囲を掃除するという感じで良いと思います。

季節によって床吹出口周辺の床材が伸縮して、床吹出口が取り外せなくなる場合があります。また床に保護塗料等を塗ったために、これが床吹出口との隙間で固着して取り外せなくなったというケースもあります。どちらの場合でも無理に床吹出口を取り外そうとすると破損して元に戻せなくなる恐れがありますから、木が縮む季節を待つとか、床材と床吹出口の隙間に入り込んだ塗料をカッターナイフ等で切り離すなど、優しく丁寧に取り扱ってやって下さい。

木製床吹出口を取り外したところ
木製床吹出口を取り外したところ

床下の汚れは、心の汚れ

前述の床下の汚れとは、日常生活の中で自然に発生する汚れの事であって、建物が完成して引き渡しを受けた時は、基本的に床下の掃除がされているというのが前提です。でもこれが出来ていない現場が結構あります。私の経験では「床下が汚い現場はトラブルが多い」。その施工者のレベルを見極める目安として床下の掃除が行き届いているかをチェックするのが良いと思っています。どんなに身なりの美しい人でも、家に帰ったらものすごく汚い部屋に住んでるなんて話もありますよね。見栄えは大事ですが、それ以上に見えない部分をきちんとする事は、もっともっと大事なのです。

上の写真は著名な建築家が設計した建物の床下です。工事中ではなくて完成、引き渡しの数か月後に床下に入って撮った写真ですが「なんだこの汚さは…」と目を疑いましたね。この建物では「1階が暖まらない」というクレームがあって、ソーラーの運転状況や効果を調べるために床下に入ったのですが、一度潜ると全身切り粉まみれになってしまうのです。この建物に備わった仕組みとして、ここを通った空気が室内に出て全体を巡る過程で、人がそれを吸う事になるのだと思ったら自然と掃除するのではないかと思うのですが、この会社の人たちにそういう思いやりの心は無かったようです。結局のところクレームの原因は、設計上の問題もあったのですが、杜撰な施工による気密不良だったので、細かい部分への気配りが出来ない会社だからこそ床下も汚かったという事が証明された形になりました。

世の中には見た目の良さだけ追求する会社があるし、見た目だけで良し悪しを判断する人もいます。でも一番大事なのは作っている人に思いやりの心があるかどうかだと思うのです。もし住宅の展示場を見学する機会があったら勇気を出して「床下を見せてもらえますか?」と尋ねてみて下さい。自信をもって家づくりをしている会社なら隠す事はないでしょう。ただし↑のような状況が当たり前と思っている会社もあるかもしれないので、そんな床下が出てきたらすぐに退散した方が良いですね。