太陽熱木材乾燥庫 “ToSMS”

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“合同会社サンシャイン・ラボ 代表の松原です。

宮城県の登米町森林組合から何年かぶりに連絡がありました。着信があった瞬間に「機械にトラブル発生か?」と思ったのですが、案の定「ファンから異音が出ている」との連絡でした。

太陽熱で木材を乾燥させているのは、このブログで紹介している和歌山県那智勝浦町の「紀州サンウッド倉庫」がありますが、それより10年以上前に実施したのが、登米町森林組合のToSMSなのです。
竣工から今日まで12年間、大きなトラブルもなく、昼も夜も休まずに運転し続けてきたファンに寿命が来たという事で、現状とファン交換の段取りを確認するために現地を訪問しました。

午前9時、仙台駅に到着しました。仙台駅前9:35発のとよま総合支所行き高速バスに間に合うように仙台に着かなければならないのですが、浜松始発の新幹線では、とても間に合いません。仙台行きの高速バスならちょうどいい時間に到着できるので、これを利用しようと思ったら、なんと満席。仕方なく前日の夜に東京で宿泊し、朝の東北新幹線で仙台までやってきました。

ToSMSに来るのは3年ぶりくらいでしょうか。特に変わったところもなく、大切に使い続けていられる様子を嬉しく思います。この森林組合は、NHKの朝の連続テレビ小説「おかえりモネ」の舞台になったところなんですよね。
ドラマの中に「温室を利用して太陽熱で木材を乾燥させる」という話が出てくるのですが、ToSMSがあったから、そのような脚本になったのだと思います。

さて問題のファンボックスですが、太陽熱で温められた空気を木材乾燥庫に送り込むための送風機になります。「異音」の状況は↓のような感じで、モーター軸部のグリスが、経年劣化で切れて回転部周辺で異音が出ているように思われます。

不調になったファンボックスをバラシて、内部の様子を確認しました。簡単にファンユニットが取り外せるように設計したつもりでしたが、パッキン類が固着していたりで、結構苦戦を強いられました。

ファンユニットの交換と同時に竣工以来、使用されてきたマイコン仕様の制御盤をやめて、陽のまど仕様に切り替えることにしました。現時点での制御盤は、動作に異常はなく、画面表示もしっかり出来ていました。私の予想ではファンより先にコントローラの液晶表示がダメになるだろうと思っていたのですが、想像以上の耐久性に驚きました。そんな状況ではありますが、ファンユニットを交換した後に制御盤が壊れて運転停止になったら二度手間になってしまうので、今回の改修でシンプルなものに取り換えることにします。

12年前と今とでは、ToSMSに入れる木材の種類や量が大きく変わったとの事でした。当初は震災復興住宅に供給する杉の柱材を中心に入庫されていましたが、現在は床材や家具の材料等が主流になっているそうです。そのようなニーズの変化の中でも、この太陽熱木材乾燥庫は、登米町森林組合にとって無くてはならないものになっているとの事なので、末永く使い続けていただけるようにサポートして行きたいと思います。

現地を確認して改修の方針が決まりましたので、浜松に帰ったら部材の手配をします。次に来るときは青トラかな!

仙台からの帰りは、浜松経由名古屋行の高速バスを利用することにしました。仙台駅 21:30発、浜松駅 5:30着です。久しぶりの高速バスでしたが、この歳で乗るものではないですね。海外旅行から帰ってきた後みたいに時差ボケしています。(涙)