おいしい建築研究所 研究員のヒノムです。
先日、和歌山県の那智勝浦へ向けて集熱パネルやファンボックスなどのソーラー部材を10tトラックに積んで送り出しました。縦型集熱パネル20枚、ソーラーファンボックス8台に大量のダクト部材という結構な物量です。
これは現在、和歌山県那智勝浦町で建設が進められている太陽熱を利用した木材乾燥庫に使用するためのもので、1年前から準備してきたものが、やっと出荷の時を迎えました。
施工は和歌山の和秋建設さんで、前田社長が建方の時の写真を送って下さいました。
この倉庫は木造平屋建、間口:約13m、奥行:約11m、床面積:約140㎡という規模で、太陽熱で暖められた乾燥空気を屋根から室内に取り入れて循環させ、その中に製材された木材を保管する事で、材の含水率を下げて行くという仕掛けの木材乾燥・保管庫になります。
過去に宮城県の森林組合で同様の太陽熱木材乾燥庫を実施した事があります。2013年の事ですから既に11年が経過していますが、今もその森林組合にとって無くてはならないものとして運用されていると聞いています。
実はその森林組合がNHKの朝の連続テレビ小説の舞台になっていて、2021年に放送された「おかえりモネ」がそれなんです。当時ご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、宮城県の気仙沼で生まれ育った主人公がこちらの森林組合に就職して林業や山林ガイドの仕事に就いたが、ある出会いがきっかけで気象予報士を目指すというお話。
このドラマの中でもビニールハウスを利用して太陽熱で木材を乾燥させるという話が出て来るのですが、これは実際にやっている実例が、そこにあるからこそのストーリーだったと思います。
今回の那智勝浦のプロジェクトは、宮城での実績を見て採用となったのですが、気候や日照条件などは間違いなく宮城より和歌山の方が有利なので、集熱には問題ないと思っています。ただ本当に重要なのは材の保管の方法や出し入れのタイミングなど、具体的な乾燥方法や運用方法についてのノウハウを蓄積してマニュアル化していく作業でしょう。僕たちも1年間に渡って温熱データの収集に協力する事になっているので、3~4ケ月ごとに現場を訪問する予定ですが、その中で適切な運用方法を見つけ出せたらいいなと思います。とりあえず明日が集熱パネルの設置工事なので、今夜は那智勝浦に前泊なんですが、浜松から那智勝浦まで片道5時間の旅は遠いなぁ。