合同会社サンシャイン・ラボ 代表の松原です。
5月のことになりますが、2件続けて「陽のまど」運転中の騒音に関するお問い合わせを受けました。1件は「ファンが作動すると凄い音がする」というもの。2件目は「運転中に小さな振動音?がしていて、すごく気になる」というものでした。残念ながら「音」と「臭い」は、言葉や文章で説明されてもわからない事が多いので、一度訪問させてもらって、どの音の事を気にされているのかを現地で確認する約束をしました。ちょうど6月末~7月初に山梨県の現場へ行く予定があったので、ついでに訪問しようと思ったのです。しかしその現場の施工スケジュールが8月末まで遅れる事になり、さすがにお待たせし過ぎになってしまうので、今回訪問する事にしました。
音のクレームってちょっと気が重いんです。動作不良とか、電気的なトラブルなら答えが割とはっきりしているから物を交換すれば解決したりしますが、「音」は、お客様が何の音を気にされているのかわからないし、原因がわかったとしても解消できるかどうかは、建物の条件とか複雑に絡んでくるので何とも言えません。とりあえずうちの製品が正しく動いている事を確認して、その上で音の発生原因を突き止める事にします。
富士見町の家

1件目に伺ったのは長野県富士見町のお宅です。2024年10月に施工指導を行って、ブログで紹介した建物です。
青トラ訪問記-7 長野県富士見町の家 | サンシャイン・ラボ
4月に入居されて、これまではとても快適に暮らせているとの事でしたが、運転中に微かな振動音がしていて、気になるとのお話しです。その音を私も確認しましたが、目を閉じて耳に神経を集中する事でわかるくらいの極々微小な振動音なので、気にならない人も多いように思いますが、一度気になり出すと不快に感じてしまうのでしょうね。天井付近から音がしていると言われたのですが、ファンは床下に設置してあり、天井裏に動くものはありません。床下のファンの運転振動がダクトから天井板等に伝わっているように思われます。

床下へのファンの設置方法は、現場毎に異なりますが、一般的には上図左のように床上の立下りダクトは、1階床で縁を切り、床下では断熱フレキシブルダクトを使用してファンと接続します。こうすることでファンの向き等の調整がしやすくなるのと、運転振動等がフレキシブルダクトで吸収されるので、上部への伝搬を抑えることが出来るからです。今回のお宅では、諸事情により床下に入る事が出来なかったのですが、ファンの設置工事をした大工さんの話では、上図右のように立下りダクトが直接ファンに接続されているとの事なので、運転振動がダイレクトにダクトに伝わってしまっていると思われます。これを止めるためには、左図のような納まりに変更するのが良いと思いますが今回は材料も道具もないので、次回山梨、長野方面の現場へ来るときに床下へ潜ろうと思います。
原村の家
2件目に訪問したのは、長野県原村のお宅です。こちらは今年の3月に施工指導に来ました。
青トラ訪問記18 長野県 原村・四季の森の家 | サンシャイン・ラボ

こちらでは、建物が完成して引渡し直後にお客様が「陽のまど」を運転したところ、送風機から凄い音がしたという話でした。施工会社の担当者もその音を聞いていて「これまでに複数件のソーラー物件を見てきたが、初めて聞く音だった」との事です。どんな音だったのか、その話だけでは何とも判断できませんが、メカニカルなトラブルの可能性も考えられます。
訪問してお客さまから状況の説明を受けましたが、当初聞いた「凄い音」は最近はしなくなったとの事でした。私も動作確認を兼ねてファンを発停させてみましたが、別段変わったことはありませんでした。床下に設置されたファンの様子も異常なし。工事中に出たダクト屑などが、ファンの中に入って異音を出していたのかもしれません。

運転動作も適切に行われていたし、各床吹出口での風量も問題なかったので、システム的には正常と判断しました。
入居されてすぐに異音に驚かされて「陽のまど」に対して懐疑的だったお客さまでしたが、異音がおさまり、システムに問題がない事がわかったって、少し安心されたようでした。「陽のまど」の使い方について誤解されていた部分があったので、その辺りについても正しく理解していただけたのは良かったです。
今回の2件の音の相談については、「陽のまど」のシステムや製品の問題ではありませんでした。冒頭に「音のクレームは気が重い」と書きましたが、何もなくて本当に良かった! 緊張していた気分を楽にして帰ることができるのは嬉しい事です。