陽のまど

「窓」のように、おひさまを家に招き入れる

「陽のまど」は、サンシャイン・ラボが提案する太陽熱利用の方法です。太陽の熱であたためられた空気を、家いっぱいに取り込み、蓄えます。

おひさまの入り口になる、ということから「陽のまど」と名付けました。

太陽熱を取り入れるために、少しだけ機械を使います。でも、私たちはこれを「設備」としてではなく「設計手法」の一つとして考えています。窓と同じように、位置や大きさで働きが大きく変わります。「おいしい建築」の隠し味です。

陽のまどのしくみ・冬

①空気を入れる
外の新鮮な外気を取り込みます。

②熱を集める
「陽のまど」自慢の集熱パネルが、太陽の熱をめいっぱい集めて、空気をあたためます。

③床下へ送る

あたためられた空気を、ソーラーファンボックスが床下へ送ります。

④熱を蓄える

空気の熱は床下のコンクリートに蓄熱されながら、ゆっくり床をあたためます。

⑤空気を室内にまわす
取り入れた空気は室内に回ります。
外気を取り入れているのに寒くならずに空気はキレイ!

陽のまどのしくみ・夏

①空気を入れる
夜間の涼しい空気を取り入れます。

②熱を逃す
夜空の天空放射冷却を利用して空気の熱を逃します。

③床下へ送る

空気を、ソーラーファンボックスが床下へ送ります。

④冷熱を蓄える

涼しい空気で床下のコンクリートを冷やします。

⑤空気を室内にまわす
取り入れた空気は室内に回ります。

陽のまどの効能

冬の朝も元気な目覚め

「太陽熱なんかで本当に家が暖まるの?」と疑問に感じられる方は多いと思います。

このソーラーが導入された家のデータを見せて欲しいというリクエストもよく頂くので、過去の実測データをお見せする事もあるのですが、どうしても目が向くのは「昼間に太陽熱だけで何度まで温度が上がっているか」という部分だけ。

本当に重要なのは気温が最も下がる早朝(5~6時頃)の室温が何度くらい保持できているか? という事であり、前日に得た太陽熱と建物の性能(保温力)が「寒くない朝」をつくり出してくれるのです。

冬の朝は起きるのがつらいものというのが一般的な感覚ですが、お日さまが住み着いてくれた家の朝は一味違うのです。

ヒートショックを防ぐ

急激な温度変化により身体が受ける衝撃を「ヒートショック」といいます。

サンシャイン・ラボ代表の松原もヒートショックにより心臓発作を起こした経験があるで、家の中で生じる温度差がいかに危険であるかをよく知っています。

特にお風呂、洗面・脱衣室、トイレといった裸になる室は、建物北側の日当たりの悪い場所に位置することが多く、基本的に室温が低い。そういう場所を電気や石油を使って暖房する事はまずしないでしょう。

太陽熱を利用する暖房であれば熱源はタダですから、光熱費を気にすることなく安全な環境をつくることができます。

「ヒートショック」に年齢は関係はありません。

健康で安全に暮らしていくためにお日さまの力を借りるのは良い事だと思います。

快適の秘訣「頭寒足熱」

「陽のまど」が太陽熱で温めた空気を床下に送り込む理由をご存知でしょうか?

基礎のコンクリートに蓄熱させるためという理由もありますが、暖気が床下全体に広がって行く際に床の裏側を暖めてくれるので、床表面の温度が上昇して「快適」を表す「頭寒足熱」という環境が実現されるのです。

エアコンやストーブによる暖房は「点」から広げる形ですが「陽のまど」は床を「面」で暖める形なので温度ムラの少ない穏やかな温熱感が得られます。

きれいな空気を目一杯

よその家を訪れた時、その家特有の臭いを感じたことがあるでしょう。

その家の住人にはわからない臭いというものがどの家にもありますが「陽のまど」がしっかり働く家では、この臭いがあまり気になりません。

「陽のまど」は1時間に1~2回分相当の換気を行いますが、空気のよどみをつくらないことが、そこに住む人と建物にとってとても大切と考えます。

夏は夜空の力を借りる

「陽のまど」の夏の働きは、日射を受けた昼間の集熱パネル内の空気温度は、100℃を超える瞬間もありますから、そんな空気を室内に取り入れたら大変!

ファンは停止状態で熱い空気が室内に入らないようにしています。

日が沈み、気温が下がってくるとファンが運転して涼しくなった外気を取り入れます。

防犯上窓を閉め切って就寝しなければならない状況でも外気を積極的に取り入れるので寝苦しさの緩和に役立ちます。

熱帯夜が続く中でどの程度の効果が得られるのか? 疑問に思われることでしょう。

実感として星が良く見える快晴の夜空であれば放射冷却が利くので取り入れる空気温度が下がりますが、雲が多い夜空の場合は、布団を被って寝ている時と同じで地上に熱が籠るのであまり下がらないという感じになります。

その日のお天気を意識しながら暮らすというのが「陽のまど流住まい術」と言えるでしょう。

床の温度が体感にいい

「陽のまどの家」を心地よいと言っていただく事が多いですが、その理由を調べてみると一つには前述の「頭寒足熱」となるような熱と空気の動かし方をしているということが挙げられます。

床が暖まると室内の空気が自然に対流を始めて隣接する壁や天井も同じような温度になって行き、それらから受ける輻射熱により人は心地よさを感じ取ることができるのです。

室温が26℃あっても寒いと感じる家はありますし、20℃でも心地よいと感じるものもあります。

「陽のまど」とは「体感温度」を良くするための「隠し味」的な働きをするものなのです。

新築にもリフォームにも

「陽のまど」は、新築だけでなく、リフォームにも使えます。個々の条件に合わせた提案をします。

陽のまどのはたらき

「夏至」は一年で最も昼の時間が長い日で6月20日過ぎにやってきます。

お日さまの出ている昼間の時間が一番長い日ですが、だからといって気温が一番高い日ではありません。

梅雨が明けて夏本番を迎える7月末から8月初旬に気温はグンと上昇します。

これはどういう事かと言えば太陽光は空気を直接温めている訳ではなく、陸地や海などを温めてから、その輻射熱により空気温度が上がるので、夏至の1カ月後に気温のピークがやってくるという理屈なのです。

冬の場合も気温が最も下がるのは1月中旬の「大寒」の頃で「冬至」ではありません。

冬至の頃はまだ夏から秋の影響が残っているので気温が最低を迎えるのはやはり1か月後。

夏/冬どちらもタイムラグがあるのです。

「陽のまどの家」は、この太陽と地球の関係と同じような温度の変化が、とても小さいながら起きているという面白さを持っています。

お日さまは日の出から地表を照らし、気温を上昇させます。

お日さまのピークは毎日お昼12時。気温のピークは、地表が温められてから上昇するので午後2時頃になります。

では「陽のまどの家」の室温のピークは何時かいうと夕方の5~6時くらいの日没後に向かえる事になるでしょう。

太陽とリンクする家だからこそ起こる現象です。

この温熱環境を保持するのが建物の断熱性能であって、地球の大気と同じと言えます。

人間も地球に住む1種類の生物。

生命の源である太陽と共に暮らすというのはごく自然な事ではないでしょうか。

そんな事を感じさせてくれるのが「陽のまどの家」なのです。