”陽のまど”という窓

味を究める

合同会社サンシャイン・ラボ 代表の松原です。

私たちが提案する「陽のまど」については、このホームページの関連ページを
ご覧いただきたいのですが、何分にも時間と予算の関係で詳細情報を載せる
余裕がなかったので、細かな技術情報等はこのブログの中でお伝えして
行こうと思っています。

初回のブログで「空気集熱式ソーラーの世界にどっぷり浸かって30年」
ということを書きました。「OMソーラー」から始まって「びおソーラー」
まで途切れることなくお日様と共に仕事をしてきましたが、自分の会社に
おける名称を何にしようか考えた時にひとつだけ決めていた事があります。
それは”ソーラー”という呼び方をやめるという事でした。

この仕事を長年やってきて感じているのは、このシステムは「設備」では
ないという事です。例えばエアコンの代用品のように取り扱われても
住まい手のイメージとはかけ離れた働きしかしないでしょう。
何故なら熱源が冬の太陽と夏の夜空しかないので「寒いから今すぐ暖め
たい」と言われても日が出ていなければ何の働きもしません。
集熱パネルやソーラーファンボックスは設備的なものに見えますが、
システム全体としては「建築」と捉えた方がしっくりきます。
”ソーラー”という呼び方は、太陽光発電設備や太陽熱温水器のような
イメージを持たれ易く、このシステムの本質とは違うように感じるので
まずはこれをやめようと思いました。

ヒートショックの恐ろしさ

太陽は建物の屋根や壁に陽の光を浴びせます。そこに窓があると建物の中に
光や熱が入り込み、室内を明るく、暖かくしてくれます。
日当たりの良い建物南側には、家族が集うリビング等が配置され、こういう
室は暖房もされているのでぬくぬくの暖かい部屋になりますが、トイレに
行きたいと思ってその部屋から一歩外に出ると、そこには寒い廊下が待って
いるというのが、従来からの日本の住宅でしょう。建物の断熱性能により
ますが10~20℃くらいの温度差がある家は、たくさんあると思います。
この温度差こそ”ヒートショック”と呼ばれて身体に大きな負担を与える元凶で、
かく言う私も過去にヒートショックで心臓発作を起こした経験があるので、
ニトロの味を知ってるが故に室内の温度差を許してはいけないと思っています。
安全に安心して暮らせるようにするためには、第一に建物の断熱・気密性能を
高めて温度変化を小さくすること。次に日当たりの悪い場所にも室温を高める
仕掛けを施すことです。しかしトイレや洗面所など短時間しか使用しない室を
常に暖房するということはしないでしょう。でもヒートショックから身を守る
ためには、何らかの「熱」が必要なのです。

”陽のまど”という窓

ヒートショック対策の熱源として「太陽」の力を借りるというのはベストな選択だと
思います。その理由はエネルギーコストがかからないこと。タダのエネルギーを利用
して安全な住環境が得られるならば選択しない手はありません。ただしトイレや洗面所
のためだけの仕掛けでは勿体ない。建物全体で熱と空気の動きをデザインするのが良い
でしょう。

私たちが提案する太陽熱利用は「陽のまど(ひのまど)」と呼ぶことにしました。
「太陽熱を取入れるための窓」という意味で、屋根や壁に設けてここからお日様を迎え入れます。
その家をお日様が気に入ればそのまま住み着いてくれるでしょう。難しい仕掛けではありません。
お日様の入口と通り道、くつろぐ場所を家の中に用意するだけのことです。
「陽のまど」は商標登録を申請中ですが、先々は天窓とか出窓のように建築用語の
一般名称になったらいいなと思っています。少々スケールが大き過ぎでしょうか?
そうなれる事を夢見ながら頑張って行こうと思います。

陽のまど
                                     陽のまど・冬の働き