帰ったら窓を開けましょう!

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合同会社サンシャイン・ラボ 代表の松原です。

暑い日が続きますが、みなさんお変わりありませんか?
うちの事務所は1970年代に建てられた鉄骨造の建物の2階にあります。このところ毎朝会社の玄関を開けると中からものすごい熱気が流れ出してくるので「何とかせねば…」と思っていました。普段仕事をしている執務スペースにはエアコンがあるので、温度調節は出来るのですが、ファン等の組立や検査を行う作業スペース兼倉庫は、換気扇もなくて、いつも空気と熱気が澱んでいます。無人の日で天気が良いと室温が40℃超えなんてことも起きていたので、熱気抜きの対策として窓用換気扇を取付けてみました。元々湯沸室には換気扇が付いていたので、これをタイマーで9:00~18:00の間、運転させるようにして、今回取り付けた倉庫のファンと2台で熱気を排出させようと考えました。

合同会社サンシャイン・ラボ

折角なので効果を確認するために温湿度を記録してみる事にしました。計測期間は7月8日~10日の3日間です。
測定ポイントは、①外気温、②執務室、③執務室天井付近、④倉庫、⑤湯沸室(台所)、⑥階段室の6か所で、15分間隔で記録しました。

7月8日は出張していたので、終日留守でした。つまり事務所は締め切り状態で、唯一湯沸室の換気扇だけがタイマーで排気していただけです。この日の執務室、倉庫、湯沸室(台所)の室温は、最高で38℃近くまで上がっていました。普段から天井付近の温度が高いと思っていましたが、最高で43.5℃を記録。屋根が受けた熱が、もろに室内に伝わってきているのは明らかです。

執務室にある点検口から天井裏を覗くとペフ貼りの折板屋根が見えていて、断熱材というものが存在しません。サーモカメラの画像のように天井全体が40℃超えの熱い面になっていて、ここからの輻射熱が凄まじいのです。
屋根に対する断熱がいかに大切かという事を改めて感じさせられました。

留守にしていた7/8の室温は、想像通りでした。私が借りている事務所は、南側に開口部が無くて、直射日光の影響を受けるのは朝方に北側の窓から少し入るくらいなので、これはカーテンで遮る事ができます。問題は天井ですが、店子の身分では何とも出来ないので、通風、換気を行いながらエアコンで温湿度を調整していくしかありません。

エアコンの前に窓を開けよう!

7/9と7/10は、終日事務所で仕事をしていたので、換気と空調の方法を変えて温度の変化を確認してみました。この両日で共通なのは、2か所の換気扇による排気と全ての窓を開けて30分間、風を通す事です。

7/9の午前9時15分~45分までの30分間は、北側の窓を全て開けて風を通しました。上のグラフで9時過ぎから急激に温度が下がっていますが、ここが窓を開けた時間になります。窓開け前の室温は33℃を超えていましたが、30分間の窓開け換気により31℃以下まで下がりました。天井付近の温度も38℃くらいあったものが、窓開け後は34℃まで下がっています。

多くの人が暑い外から家に帰ってくると、まずは冷房のスイッチをONにすると思うのですが、エアコンの前に窓を開けて風を通してやると、室内に篭る熱気を排出できて、そのあとの冷房の効きも良くなると思います。室内の天井とか壁には、昼間の熱がたっぷり溜まっていますから、この温度を下げてやる事が重要なのです。
以前のブログで「体感温度」の事を書きました。周壁温度から受ける影響が心地よさの決め手になるという話です。

陽のまどの効能(その6) | サンシャイン・ラボ

この時は「暖房」についての話でしたが「冷房」も同じです。壁や天井があっちっちな状態でエアコンで冷房してもなかなか室温は下がってくれません。窓を開けると外の熱い空気が入って来ると思われるかもしれませんが、まずは室内の熱気を捨ててから冷房する方が省エネの面からも効果的でしょう。
7/9は30分間の窓開け後にエアコンを「設定温度29℃」で19時半頃まで使用しました。

エアコンを使わなくても過ごせます!

7/10も出勤と同時に30分間の窓開けを行いました。窓開け前は33℃くらいありましたが、45分くらいの換気で30℃以下まで下がったので、この日は終日エアコンを使う事なく過ごしました。

窓を全開にしておくと気持ちのいい風が入ってきます。この日は湿度も50%程度と低くかったので、冷房が必要とは全く感じませんでした。面白かったのは、天井付近の温度がエアコンで冷房した7/9よりも、通風のみの7/10の方が低かった事です。エアコンの冷気は、足元に留まっていて上層部の温度を下げるには至らなかったという事でしょう。一方の7/10は、終日窓を開けていたので天井面の温度が下がり、上下の温度差が小さくなったのだと思われます。「頭寒足熱」は、季節に関係なく、心地よい温熱環境のキーワード。エアコンが万能ではないということが分かりますね。

命に関わる暑さから身を守る術としてエアコンによる冷房は、必要なものだと思います。ただその使い方として、冷房のスイッチをピッと押す前に窓を開けてみましょう。まずは室内に篭る熱気を捨てる事。そしてもしいい風が吹いていたなら、それを取り入れる方がエアコンの風より気持ちいいと思います。何も考えず、何も感じずに空調設備にだけ頼るような暮らし方をしていると、結果的にエネルギーの無駄遣いになってしまうでしょう。これからが夏本番ですが、涼の得方について皆さんも考えてみて下さい。