おいしい建築研究所 研究員のヒノムです。
世の中には「SDGs」だの「持続可能な世界」だのと、そういう言葉がいっぱい並んでいますね。特に大手企業の広告は企業のイメージ戦略なのかなぁ。聞こえはいいけど本当に持続可能なのだろうか?という疑問符が付くものが多い気がします。僕がナマケモノということは皆さんご存知の通りで、今はおいしい建築研究所の研究員として働いていますが、元々のナマケモノの生態には人間の皆さんに見習ってもらいたいところがいっぱいあるんです。
過去のブログでもナマケモノの事や、なぜサンシャイン・ラボのイメージキャラクターがナマケモノになったのかを書いていますが、今日は改めて僕たちナマケモノの話をしようと思います。
仲間に会いに行く
先日、所長が「仲間に会いに行ってみるか?」と言ってきたので、一緒に静岡市までお出かけしました。目的地はJR東静岡駅近くにある「アニタッチ」という珍しい動物たちと触れ合える施設。

ここにフタユビナマケモノがいるとの情報があり、会いに行くことになりました。因みに僕はミユビナマケモノなので、ここにいる子は僕の親類縁者ではないです。





ナマケモノって1日20時間も寝ているし、夜に活動する生き物なので、こんなに活発に動き回っているナマケモノが僕以外にいるとは思いませんでした。
哺乳類なのに変温動物
人間は恒温動物です。恒温動物とは外気温や水温などの周囲の温度に左右されず、体温を一定に保つことができる動物で、主に哺乳類や鳥類がこれにあたります。一方で外気温によって体温が変化する動物が変温動物で爬虫類や両生類、魚類、昆虫などがこれにあたります。ナマケモノは哺乳類なんだけど、なぜか変温動物。基礎代謝が低いので外気温に合わせて体温を調節する事もしません。そのために非常に少食で、1日に8gくらいの植物を摂取するのみで生きていけるのです。因みによく似た生態のコアラは恒温動物で1日500g以上の植物を食べているそうなので、ナマケモノがいかに省エネであるかわかりますね。
過酷なナマケモノの生態
ナマケモノは南アメリカ、中央アメリカの熱帯雨林に住んでおり、生涯のほとんどを樹にぶら下がって過ごします。主食は自分の周囲にある葉や新芽などで、自分の毛に生えた藻も食用にしています。樹上生活者のナマケモノですが週に1回程度、地上に降りて排便、排尿をします。樹上からすれば済みそうなのにわざわざ地上に降りて用を足す意味って何?という事なんですが、いろいろな理由があるようです。
1つにナマケモノの毛の中には「ナマケモノガ」と呼ばれる蛾が住んでいて、これがナマケモノの糞に卵を産み付け、孵化した幼虫の餌になるので、蛾たちが利用しやすいように地上に降りて排泄するというもの。ナマケモノガはその見返りとしてナマケモノの被毛に食料となる藻が生えやすいように環境を整える相利共生の関係にあると言われています。また藻はジャングルで目立たなくする擬態の役目もしています。
2つ目にナマケモノが住んでいる熱帯雨林のジャングルは栄養豊富なイメージですが、実はすぐに栄養は分解されてしまうので土壌は瘦せているのだとか。だから糞を樹の上から落としただけでは、バクテリアによってすぐに分解されてしまい、自分が住んでいる樹の栄養にならないので、わざわざ地上に降りて穴を掘ってそこに排便することで樹を育てているのだそうです。
でもこの樹から下りてきた時が一番天敵(ジャガーやピューマ、オウギワシなど)に襲われやすく、ナマケモノの死因の一番がこの時なんだとか。でも持続可能な住環境を守るために命がけで地上に降りてくるナマケモノの生き様を人間も見習わなければならないように思います。
大切なのはエネルギーの使い方
おいしい建築研究所では、以前から「大切なのはエネルギーの使い方なんだ」という事を言ってきました。どんなに高性能な家を建て、最先端の設備を導入したとしてもそれの使う人の意識が、便利さだけを追い求めているだけならば、持続可能な未来はないでしょう。耳障りの良いキャッチコピーに踊らされて、エネルギー多消費な暮らし方になっていないでしょうか?
人間も大昔は、身の回りにあるものだけを利用して暮らしていましたが、今の暮らしは食べ物も、着る物も、エネルギー資源も自分たちの知らない遠い所から運ばれてきたものによって支えられています。そうすることで経済が成り立っているので、これを否定する事はできませんが「持続可能か?」と問われたら???と思ってしまうのは僕だけでしょうか?
ナマケモノの生態をそっくり真似する事は無理ですが、彼らがやっているように自分の生活する場を自分で守り、育てていく事くらいは出来そうな気がします。未来のためにみんなで考えて、行動すべき時が来ていると思うのですが、皆さんはどのよう思われますか?