青トラ訪問記17 浜松・半田山の家

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合同会社サンシャイン・ラボ 代表の松原です。

今回は久しぶりに浜松市内の現場で集熱パネルの設置工事に立ち会いました。施工は浜松のスローハンドさんです。

浜松・豊橋で建てる心地よい木の家。スローハンド有限会社

スローハンドさんもOMソーラー時代から空気集熱式ソーラーに取り組まれているので、集熱面の工事は職人さんもよく分かっていらっしゃる。だから「施工指導」ではなくて「現場見学」として訪問しました。

日本海側にお住まいの方には申し訳ないくらいの青空なのですが、風が恐ろしく強くて寒い。朝、家を出る時に手持ちの風速計で測ったら瞬間で14m/秒なんて風が吹いていました。こんな強風の中での集熱パネル設置工事は辛いです。

【A】予備集熱面+集熱パネル

スローハンドさんの集熱面は、OMソーラー時代から変わらずに予備集熱面+集熱パネルで構成されています。これは野地板の上に通気垂木を設けて空気層をつくり、その上に金属屋根材を葺くという方法です。(下図参照)

この方法のメリットは、日射を受けた時の温度変化の反応が早い事でしょう。金属屋根は日射を受けるとすぐに熱くなり、陰ると冷たくなります。真夏の昼間に金属屋根の上に立った時の経験ですが、日の当たっている部分の屋根材には熱くて触れませんが、自分の陰になっている部分には触る事ができました。金属屋根のこういう特性を利用して、これに空気を直接触れさせれば、温度を簡単に上下させることができますから、空気集熱式ソーラーとしては最も効率の良い屋根納まりと言えるでしょう。しかし施工が難しいとか、雨音がうるさい等のデメリットもあるので、何を優先するかは設計者の判断に寄ります。

野地板の上にルーフィング(防水紙)を張って、通気垂木を施工したところです。垂木の高さ分が集熱空気層になります。

集熱パネルにダクト接続する部分は、↑のような垂木と同じ高さに設定された「接続アタッチメント」という部品を屋根に取り付けて、水漏れ、空気漏れがないように納めます。

ダクトが屋根を貫通する部分には、屋根勾配に合わせた「ダクト接続ボックス」を使用します。屋根の勾配なりではなく、垂直に室内に入るようにする事でダクティングのスペースを最小限に抑えることができます。今回の現場では、接続ボックス底面の丸穴にダクトを接続して、そのまま一直線に1階床まで下します。途中に曲がりが無いからダクト抵抗も少なくて効率的です。

集熱パネルの連結部
ダクト接続口を開口
集熱パネル吸気口に取り付けられた流量調整板

横型集熱パネルを5枚を設置します。ダクト接続位置は、本来は極力中央のパネルからとするのがルールなのですが、今回は室内におけるダクティングの都合から、東から2枚目のパネルにダクトを接続する事になりました。集熱面全体で見た時、かなり東に偏っている事になり、ダクト接続位置から最も遠い集熱パネル(西端)で吸気が上手くできない可能性があるので、全体のバランスを取るために東端とダクト接続パネルの吸気口を↑のように半分塞いで、この2枚のパネルの吸気量を減らし、その分西端のパネルの通気量が増えるように調整しました。

ダクト接続口の位置を確認

集熱パネルのダクト接続口がダクト接続ボックスのほぼ中央に位置している事を確認します。

集熱パネル設置完了

集熱通気層は、集熱パネル下面を通って棟に繋がります。夏の昼間の陽のまどは、電動ダンパーが閉じ、ファンが停止した状態を保持しますから、集熱通気層内の熱い空気は、棟に取り付けられる換気口から自然に排出される形になります。

びおソーラー以降、陽のまどでも8割くらいの物件では【B】屋根通気層を利用した予備集熱面+集熱パネルの納まりが選択されているので【A】予備集熱面+集熱パネルの施工に立ち会う事は少ないです。スローハンドの職人さん達は、この納まりに慣れているので特に心配な部分もなくスムーズに工事が進みました。近日には通気垂木の上に金属屋根材が葺かれることになるでしょう。また進捗状況を確認しに訪問したいと思います。