熱と空気の動かし方(失敗例)

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合同会社サンシャイン・ラボ 代表の松原です。

カウンターアローファンという換気扇をご存知でしょうか?
↓はカウンターアローファンの外観ですが、三菱電機が製造・販売しているダクトの途中に設置するタイプの換気扇で、正転/逆転を切り替えて運転する事ができるという特徴があります。

弊社ではこのファンを陽のまど部材として取扱いはしていませんが、現場で時々見かけます。設計者の指示なのか、施工者の選択なのかはわかりませんが、小屋裏にこのファンが設置されていて、床下までダクトが配管されており、冬場は建物上部に集まる暖気をこのファンで床下へ送り、夏場は床下の冷気を吸い上げて建物上部から吹き下ろそうという考え方のようです。このような空気の動きをさせるのに正転/逆転の機能を持つカウンターアローファンはうってつけと考えるのは理解できます。ただ現場で見かける熱と空気の移送システムには、「何がしたかったのだろう?」と首をかしげてしまうような残念なものも多いです。

残念な使用例

最近現場で見たカウンターアローファンを使った熱と空気の移送システムですが、下図のように配置されていました。

ソーラーファンボックスとカウンターアローファンがダクト上で一直線には配置されていて、その間にTEEによる分岐を設けて床下へ送風する仕掛けになっていました。集熱取入れ運転と、室内循環運転をこの2台のファンでやろうとした事は理解できます。が、このシステムを考えた人は、カウンターアローファンには、空気の逆流を止めるためのシッターが付いていない事をご存知なかったのでしょう。ソーラーファンボックスが集熱取入れ運転をするとカウンターアローファンの中を通り抜けて給気口から吹き出してしまうのです。本来は、床下に送られて蓄熱並びに床を温めなければならない集熱空気ですが、このような機器レイアウトのせいで、床下にはほとんど空気が行っていない状況でした。この室内循環システムが単独で設置されていたのであれば、問題なかったと思うのですが、空気集熱式ソーラーの仕組に無理やり組み込んだことが、大きな誤りでした。

このままでは何のために空気集熱式ソーラーを導入したのか分かりませんから改善が必要なので、私は次のような提案をしました。

チャッキダンパー

① 分岐ダクト(TEE)の両側にチャッキダンパーを取付けて、逆流防止対策を行う。

現行の仕組を活かして使用するのであれば、集熱取入れ運転時にカウンターアローファンへ空気が流れないように逆流防止用チャッキダンパーを取付けて、これで止めて、床下へ空気が送られるようにしてやります。またカウンターアローファンによる室内循環運転時には、ソーラーファンボックス方向へ空気が流れないように同じく逆流防止用チャッキダンパーで止めて、立下りダクト方向へ流れるようにします。ただしカウンターアローファンの正転/逆転の機能は使えなくなり、給気口から吸って床下へ送る運転のみになります。

② 室内循環運転を使用していないのであれば図中A部分でダクトを切断し塞ぐ。

この2台のファンによるオペレーションは、なかなか難しいものがあります。2台のファンが同時に動いたらダクト内で風がぶつかり合ってしまうので、集熱取入れをしていない事を確認した上で室内循環用ファンを運転しなければなりません。このような状況だからでしょうか、お客様がカウンターアローファンを使用されていた形跡が見られませんでした。室内循環を使用していないのであれば分岐ダクトの右側部分を撤去して、ダクト端部を塞いでしまった方が簡単でしょう。逆流防止用チャッキダンパーも不要です。

システム計画は慎重に!

陽のまどのしくみを見た人の中には「こんなの俺だったらもっと簡単につくれる!」と思ってやりたがる人がいるのですが、多くの場合は「なんだかなぁ」という結果になっています。と言うより自分が考えて組み込んだシステムの事後の検証を全くしていない事が多い!これはダメだと思います。

私が空気集熱式ソーラーの世界に入ったばかりの頃に、今回ご紹介したカウンターアローファンを使った「簡単ソーラー」なるものが登場しました。これはある建築家が発案して、自身の設計案件に取り入れていたもので、集熱取入れと夏排気をカウンターアローファンの正転/逆転機能で実現しようというものでした。しかし今回の事例にもあったように流路を開閉する機能がないので、ファン停止時に冷気が下りてきたりするなどの不具合が生じて、その建築家以外にこれを採用する人はいなかったように思います。元々カウンターアローファン1台では、必要とされる風量を確保することが難しく、また正転時と逆転時の風量が同じではないので、家全体の空気を動かすのには役不足なのです。
「冬」と「夏」、「昼」と「夜」という正反対の動きが求められる条件に対して、どのように機器をコントロールするのが良いのかというテーマは、簡単なようで意外と難しいものなのです。

ご自身の考えで色々とやってみる事は良いのですが、お客様に迷惑がかからないように慎重にやっていただきたいですし、完成後に必ず効果を確認して下さい。
こちらでシステム計画を行っている部分については把握できますが、現場であれこれやって、結果的にソーラーの効果がなくなっていたということではお客様が気の毒です。陽のまどに組み合わせて何かをされるのであれば、必ずご相談下さい。