合同会社サンシャイン・ラボ 代表の松原です。
これまでに「OMソーラー復活計画」と題して9本の記事を書いてきましたが、これに関連してOMソーラーのメンテナンスに携わっている方々とお話をする機会がありましたので、メンテナンスについて改めて考えてみようと思います。
今も「近所に雷が落ちた」と聞けば交換用の制御盤を持って現場に駆け付けたり、OM集熱面からの雨漏りや貯湯タンクの交換、木製サッシのトラブル等々、多岐に渡って対応されている人たちがいらっしゃいます。その人たちの会社の倉庫には、歴代のOM機器の交換用パーツがストックされていて、メーカーが製造を終了させた部品まで確保しているとの事。クラシックカーを愛する人が、同じ車をもう1台、部品取り用に所有しているのと同じだなと思いました。本当に頭が下がります。
私もOMソーラーの出身ですが、私など足元にも及ばないくらいOM機器の事を熟知されていると思います。こういう人がいるから、過去のOMの家も辛うじて維持できてるのですが、彼らは大体私と同年代で、対応ができる時間が限られて来ているので、こういう人たちの身体と頭が働く間に何とかせねば!と思っているのです。
メンテナンス三条件
メンテナンスを持続的に行うためには「ヒト、モノ、カネ」の三条件が必要です。この内のどれか一つでも欠けたらメンテナンスを続けて行くことはできません。
私が「OMソーラー復活計画」を考え始めたのは、OMソーラーの家にお住いの方の中で、この三条件が揃わなくなってきた為に困っている人が出てきているという事実を知ったからでした。
前述のように今はまだ「ヒト」と「モノ」は確保できています。と言っても私の近くに、たまたまそういう人がいるだけであって、全国的には既に破綻しているのかもしれません。
話を聞いていると、これまでは「壊れた部品を交換する事で延命させる」という事をずっと続けてきただけなので、「モノ」が入手できなくなればそこで終わりになります。過去を知っていて、どこにトラブルの原因があるかを判断し、適切に処置できる人がいなくなっても終わります。そしてメンテナンスに費用がかかり過ぎれば、依頼する人、依頼できる人がいなくなります。
過去の負債の面倒を見て行くだけの仕事なんて、若い世代に託すことは無理だと思うので、この技術を後世に残すためには、過去にしっかり対応しつつも、未来に向かって歩んで行けるような仕掛けが必要なのだと考え、「rewarm」(温め直す)という活動を始めました。
メンテナンス無視の建築は多い
これまでの「青トラ訪問記」でも度々クレーム対応の記事を書いていますが、不具合の連絡を受けて現場へ行ってみたら容易に接近できないような場所に機器が設置されていたりすることがあります。
なぜそのような位置に配置したのか尋ねてみると意匠的な理由と言われる事が多いのですが、不具合が発生した時には、誰かがその機械まで行って点検し、状況に応じて修理作業をしなければなりません。施工時には骨組みだけだったかもしれませんが、完成した時点では壁や天井内に隠蔽されていて容易に作業ができないケースは多いです。そういう場面を想定して建物を設計、施工してくれると良いのですが、設備のメンテナンスの事など無視という建物は結構多いと感じます。

↑の写真は電動ダンパーの設置状況ですが、ダンパー本体が天井内に埋め込まれてしまっているので、もし電動ダンパーを交換しなければならない状況に陥った場合は、天井を壊して交換作業を行う事になるでしょう。
↓の写真は、セルロースファイバー断熱材を天井一面に吹き込んだ現場になりますが、奥に見える電動ダンパーやダクトにアクセスするためのルートがありません。ソーラー関係の機器の点検だけでなく、もし雨漏りが発生した場合にどうやって対処するのだろう?セルロースの海を泳いで渡る?
この他にも60cm角の点検口でなければ、機器の出し入れが出来ないのに、45cm角の点検口を付けている家とか、床下点検口の直下に機器が設置されていて、床下に入る事ができない家など目的が理解されていない現場は数多く存在します。

メンテナンスを考えたモノ作り
建築や設備に絶対壊れない。絶対大丈夫はあり得ません。どんなに優れた製品であっても、いずれは壊れる時が来ますから、その際にどのように対処するかは、製品を設計する段階とそれを施工する段階において、しっかり考えておかなければなりません。
冒頭にOMソーラーのメンテナンスの話をしましたが、私がOMに在籍していた20~30年前もメンテナンスで苦労している人がいっぱいいたので、こういう状態に陥らせないようにするためにはどうすれば良いかという事を考えて作ったのが、現在の「陽のまど」なのです。
私の製品設計の考え方は、必ず「分解」できるようにする事。躯体に取付けられたいる状態であっても手順に沿って分解すれば、モーター駆動部などの主要部品が交換できるように作ってあります。一例として↓のように対応した現場がありましたが、もし「分解」のことが考えられてなかったら製品を全交換する事になって、大きな費用がかかってしまった事でしょう。
青トラ訪問記-40 ファンボックスのトラブル – サンシャイン・ラボ
今どきは壊れたら全部交換という考え方が一般的で、修理する方が高くなるという風潮ですが、陽のまどや建築に根を張る設備機器(家中にダクトを巡らせる全館空調や換気システムなど)は、個々にメンテナンスができるようなものにしておかないと、築10~20年が経過した頃に大変なことになる可能性が高いでしょう。便利な機能よりも維持のしやすさで選ぶ方が良いと私は思いますが、みなさんはどのようにお考えでしょうか?







